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急ぎ足で会場に入るとすぐに一年生が入ってきた。
ぱっと見では見たことのある顔は見つからなかった。
がっかりしながら校長らの話を聞く。
生徒会長の挨拶が終わった。
悠の声は綺麗で、
男しかいないはずのこの学校でも赤面するやつが出る。
例えば舞台近くに座っている、黒髪グレーの瞳の新一年生がそうだ。
そいつも結構な美少年だった。
新入生代表挨拶になった。
柔らかい灰色の髪が揺れた。
そいつが壇上に上がる。
そして口を開いた。
「桜舞うよき日に、僕たちは…」
もうなにも聞こえなかった。
驚きが俺を支配した。
そいつの姿は忘れたことはなかった。
あの白い肌も、灰色の髪も、細い指も、この声も。
全部覚えている。
唯一無二の後輩、
守山 港(もりやま みなと)だった。
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