~想い花~

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朝露が似合う季節。 僕の部屋からは小さな公園が見える。 その端っこには申し訳なさ気に一輪のアサガオが咲いていた。 どこかの誰かが種を蒔いて育てたのだろうか それとも風に乗って飛んできた種だろうか 良くは分からないけど僕は懐かしいその小さな花に優しい想いを思い出す。 あの頃、叶える事がなかった小さな約束 そして離れてしまった二人‥ 想いを乗せすぎてしまったのかもね 小さな花にたくさんの想いを詰めすぎたのかも知れないね たくさんの想いの強さに負けて別れを選んでしまった。 サヨナラをしたのは僕の方 大嫌いだ って言って後ろ振り返らずに君の前から消えた。 その後ろ姿は君の泣き声に引かれつつも止まろうとはしなかった‥ あれから何ヶ月か過ぎた。 ゴメンね。 僕は君に一つだけ嘘を付きました。 ホントはサヨナラしたくなかった ずっと一緒に歩いていたかった‥ でも君の側にいるのが出来なくなってしまったんだ 今僕は病院にいる。 君と過ごした鮮やかな世界と違ってこの部屋には何もない 真っ白な色で固められた冷たい部屋だよ 僕が想うのは今も君の事だけ 優しい笑顔と甘い笑い声 ねぇ覚えてる? 僕の大きな手と君の小さな手 その二つの掌を重ね合わせて君はこう言うんだ この掌の中にはたくさんの想いがあるのよ でもこの想いを叶えるのは あなた一人じゃダメ 私一人でもダメなの 二つの掌で一緒に叶えなきゃダメなの ねぇ ずっと一緒よ 忘れないで‥ この掌には二人だけの夢があるんだからね 愛してる ずっと‥ そう言って君はこぼれそうな笑顔で僕を見ていたね‥ 忘れないよ でも僕にはもう君と一緒にいられる時間がないんだ 幸せになる時間が足りないんだよ‥ 僕の部屋には青色の花瓶が置いてある 花が大好きだった君 その中でも1番好きだと言っていたのは 『アサガオ』だったね その花が僕の部屋には飾ってある 少しでも君を近くに感じていたいから‥ 君を想って強くなれるから飾ってある。 僕はもう少しでこの世界からいなくなる もし生まれ変われるならまた君に逢いたいなぁ 同じ時間を同じ気持ちで過ごしたい‥ 約束だよ 僕もずっと‥ ずっと君を愛してる
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