真夜中の二人の話

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  吹雪の日は引き籠り。 これ、雪国の常識なり。多分。少なくとも、北海道では常識。多分。 いや、でも、吹雪いた日は基本、友達との約束も流れるしね? 仕事以外で、こんな吹雪の中、わざわざ外には出ないわよね?うん。 不要不急の外出は避けましょう。吹雪の日に外に出ると溺れます。 「まだ吹雪いてる」 それにしても、もう3月だってのに、まだ吹雪くとかどーゆー事? 今年の冬は長いなぁ。 流石に冷蔵庫がさびしくなってきたし、ちょっと買い物に行きたいんだけどなぁ。 明日は、せめて雪がちらつく程度でお願いしたい。 時刻は0時過ぎ。 これ以上起きてると、除雪車が入ってうるさくて睡眠を邪魔される。 お布団に入って、さぁ寝ましょう。なんて、灯りのスイッチに手を伸ばした途端、鳴り響いたのは携帯電話。 「……、もしもし?」 『あー、もしもし。先輩?』 「何?どしたの?こんな時間に珍しいじゃない」 恋人ごっこしてた時は結構電話してたけど、現在は特に電話までの用件も無く、基本はメール。 『や、ちょっと質問なんですけど、』 「うん?」 『彼氏に、今すぐ逢いたい。って言われたら、どーします?』 人の睡眠を邪魔してまでかけてくる用件はソレか?? 「…………嫌味?」 『単なる質問です』 とりあえず灯りを消して、闇を見つめつつ考えてみる。 「……今すぐ逢いたい。と、言われたら。ねぇ?」 『どーしますか?今言われたら』 今、言われたら?? この吹雪いてる夜に? 当然、今導かれる答えなんて決まってる。 「吹雪いてるから、ヤダ」 素直に答えれば、続くのは無言。 や、もうホント。 この電話の意図がいまいち汲めないよ?相模。 『……はぁ』 「ちょっと?何よ?そのわざとらしいため息」 『や、あまりにも予想通りの答えで、逆に驚きました』 予想通り。ってのも、少しムカツクなぁ。 「じゃあ、わざわざ聞かなくてもいーじゃない」 『まぁ、そーなんですけどね』 「じゃあ聞くけど、相模ならどーする訳?今すぐ逢いたい。って言われたら」 吹雪の、こんな時間に言われたら、行く訳? 『逢いに、行きますよ。行ける距離なら』 「吹雪でも?」 『吹雪でも』 ……行くの?マジで??  
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