とある学校で

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「やめろよ…西瓜〈にしうり〉!」 天野 瞬〈あまのしゅん〉という少年は目の前の少年に向かって訴える。 西瓜 茂〈にしうりしげる〉という同じ制服をきている少年に包丁を向けられていたからだ。 西瓜は酷く血走った目をしていて、息も荒く、手に持った刃物を見なくとも明らかに危ない様子だった。 キャーキャーと周りの生徒たちは被害を受けぬようと端へと避難し、そこからあたかも被害者同然のような顔をした野次馬のように様子を眺めていた。 「うるさい!!お前たちなんだろ!俺のことを学校で噂ながしたり、ネットに書き込んで、バカにしてたのは!」 天野は目を恐怖に潤ませながら「何言ってるんだ。何の話だよ」と疑問を浮かべ後ずさる。 「バックレてんじゃねーよ。全部知ってんだぞ。あの人から全部聞いてんだ」 「…あ、あの人?」 「ふざけんじゃねーよぉ!!」西瓜が叫んで包丁を振り上げた。天野は身を守るために体を縮め腕で体を守る。 振り下ろされた包丁は血を高く高く噴き出させた。 濡れる生々しい音が廊下の床を弾き、壁には赤のある種のデッサンのように飛びちった跡を残す。 叫び声は校内に響き渡り、周りにいた生徒はパニックに陥った。 天野は悲鳴を上げるが、それでも西瓜は包丁を降り続け、ついには天野はその場に倒れ動かなくなった。 西瓜は返り血で真っ赤に染まり、目にはまだ怒りを宿していた――――――――  
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