10年分のありがとう

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ゆっくりとした口調で挨拶をする秀一は、黒いパンツに白いシャツを羽織っていて、その挨拶の後、白いシャツを脱ぎ黒いTシャツ姿になっていた。 2曲目はあの出来事が起きた日に仕上がり、私に向けられた曲... 秀一の歌から始まる曲は、原曲以上に格好良くアレンジされていて、強い歌い方をする秀一は、とても凛々しい姿で歌っていた。 前半のSKYらしいステージは、MCを挟み衣装も一変してアダルトなステージへと変わった。 上下白の衣装に、胸元に光るネックレスを見た時、私の胸はこれ以上無い位締め付けられていた。 カッコイイ曲が10曲集められ、メドレーになった1曲を歌った後、秀一の隣に悠斗も並び3人での長いMCが続いた。 『今日はね...特別なライブだから、悠斗も一緒に話してもらおうかと...」 キャーーーー!!!!! 悠斗ファンからの歓声があがっていた。 「ほら、何か喋れば?...皆、あんまり悠斗の声、聞いた事ないんだから」 「えぇーっと...皆さん、こんにちは」 「おい、後半過ぎてるのに挨拶かよ...」 「本当だよね...えー、今年の4月でデビューして10年を迎える事が出来ました。 あの日から全力で走って来た僕達が、今日この10周年のAnniversaryライブが出来た事に、本当に感謝しています。 まだ、10年という先が見えない頃...僕はある人に誓いました。 「10年やれたら、記念のライブをやる!」って...それが今日なんです。 いつも傍で支えてくれたその人と...今日ここに集まってくれた皆。来れなかった人達に、本当に感謝してます。ありがとう......」 私は秀一のその言葉を聞いて、また涙が零れていた。
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