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頬杖をつく私の横には、いつからかカシスがいた。
笑うでもなく、ただじっと、この機械人形は私の隣にこうして佇むのだ。
真冬の庭のような部屋、私が本の頁をめくる音以外は風の音すらしない。
季節や天気、それから昼と夜、窓の無いこの部屋では無縁だった。
これは私が望んだ領域。
姉さんがいない世界なんて、私には何の価値も無いのだから。
ただ一つの異分子がカシスだ。
機械人形は私のそばを離れない。
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