事の発端

11/25
24459人が本棚に入れています
本棚に追加
/514ページ
「これが消える頃には、また新しい痕が付くからな」 要は首筋を押さえる凛の手を片手で簡単に退かすと、空いた手で自分が今付けたばかりの印をゆっくりとなぞっていく。 「! そんな予告いらないから!!」 そう強がってはみたものの、要の指が触れる度、凛の肩は小さく震えていた。 「……ん? まだ欲しいって顔してるぞ?」 「!! ばかっ!!」 僅かな反応も見逃さず、からかい半分に意地悪く言ってくる要の胸を、凛は思いっきり突き飛ばした。 「ごほっ!?」 思ったよりも強い力に、要は一瞬咳き込む。 「要が変な事言うからいけないんでしょ」 咳き込む要を心配する素振りも見せず、いいきみとばかりに、凛は要に背を向けた。
/514ページ

最初のコメントを投稿しよう!