寂しくもない日常

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寂しくもない日常

「坂本くんのこと、好きだよ」 突然の衝撃の告白だった。 そりゃあもう、いうんhdfskんぁjkmjgmvfどあkってくらいに。 普段の『日陰の少女』、『根暗女』、『ツンドラ』、『自殺志願者』などといった数々の異名を持つ彼女からは考えられないほど、それはとんでもないことだった。 「信じられない?」 違う。オレは君のことを信じたい。 でも、世の中には信じられない奇跡ってものがあるんだ。 「じゃあ教えてあげるわね。指も、髪も、声も好きだわ。瞳も好きだし、手も好きね」 「ちょっと待て」 お前はオレの外見が好きなだけじゃねえかよ、それ。 「しょうがないじゃない。一目惚れだったんだもの」 「それでも告白するんなら中身も好きになってからだと思うぞ」 「冗談よ」 …………。 「そうだよな、お前の告白は冗談だよな。本気でありえないことだもん」 「という言葉も冗談ね」 …………。 ということは彼女がオレのことを好きだと言ったことが冗談になったことまで冗談になるわけだから、結局世の中はすべて嘘偽りで埋め尽くされるというわけか。 「真実は、僕が坂本くんを好きだということだけ。心から愛しているということだけ。それだけで十分じゃない。 もし坂本くんが僕を好きになってくれるなら、僕はなんでもする。 殺せと言われたら殺す。死ねと言われたら死ぬ。ここで裸になって官能小説を音読しろと言われたら、喘ぎ声まで見事に音読する」 「ちょっと待て」 最後の一つは明らかにおかしかったぞ!? いやらしい姿でいやらしい言葉をリアルに読み上げる。 なんて魅惑的なのだろう。 「まあ、僕は坂本くんがそんな要求するわけないと、高をくくってるだけなんだけどね」 「……ちっ」 フェイントかよ。 「でも、坂本くんを想う自分の為だったら、僕はなんだってするよ」 「それ、相手に尽くすいい女の台詞のように思えるけど、実はものすげえ自己中女の発言だからな?」 「わーるどいずまいん。それがこの世の摂理でしょ?」 「お前の思想にはいつも度肝を抜かれるよ」 むしろ心臓を手でつかみ出されるほどの驚きを感じるよ。
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