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王都に入った黒髪の青年はメインストリートを足早に進んでいく。
と、パタパタと走ってくる音と自分に掛けられた声にに足を止めた。
「お~い、黒髪の剣士さん待ってくれよ。」
息を弾ませた先ほどの金髪の青年は追い付くとニコリと笑った。
「何か用か?」
黒髪の青年の問いに金髪の青年は首を横に振った。
「別に何も…って話まだ途中……」
最後で待たずに歩き出した青年を慌てて追う。
追ってくるのを分かっていたらしく青年の歩調は先ほどより緩い。
それに気を好くした青年は再び口を開いた。
「用って訳じゃないけど、さっき僕を見てただろ?だからちょっと気になったんだ。あ、まだ名前言ってなかったね。僕はルカ。君は?」
ニコニコしながら聞いてくるルカと名乗った青年にチラリと視線をやった黒髪の青年は小さく口を開く。
「ノア」
短く答えた青年にルカは満足そうに笑った。
「で、君は今何処に向かってるの?」
ルカの問いにノアはスッとメインストリートの終点を指差した。
「城へ」
答えに納得したルカはそのまま黙ってノアの横を歩く。
暫くもしないうちにノアは足を止めてルカを軽く睨みつけた。
本人は気付いていないだろうが、美形に睨まれると思っている以上に迫力があるものである。
ので、けっこう怖い…
「着いてくるのも隣を歩くのもかまわない。だが、そうするなら何かしゃべってろ。」
イライラとした口調で言ったノアに一瞬瞬いたルカは次いで満面の笑みを浮かべて頷いた。
そして、ルカは話し掛け始めた。
異常に目を引く奇妙な二人組は真っ直ぐにメインストリートを進んでいった。
(泡沫様より挿絵を頂きました。↓ルカです。)
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