ChapterⅠ

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  「はぁ……いったい何なんだよ……」 夜凪蓮は一人胡座をかきながら考えていた。 まず自分の姿を部屋?にあった鏡でよく見る。 黒く少し長いウルフヘアー、同じように真っ黒な双瞼。 学校帰りだったために高校の制服を着ており、腰や首、腕には趣味のシルバーアクセが複数つけられている。 自分の姿に問題無いと判断すると次は周囲の様子を探ってみる。 岩が重なり合って造られた壁は何とも言えない威圧感を持っており、そんな壁が三方向を囲っている。 そして残る一面は。 「これって…………檻だよな、明らかに」 そう。残る一面は鉄格子でできた頑丈な檻となっており、通路を挟んだ部屋も同じようにできていた。 端的に言うと蓮は牢屋の中にいる。 「はぁ……何でこんな事になっちゃったんだろ」 松明の炎の明かりだけが照らす牢屋の中で本日二度目のため息をつきながら自身の記憶を引き出す。 思い出すのは学校からの帰宅途中、全ての始まりの記憶。
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