姉さんから聞きました。

27/27
6073人が本棚に入れています
本棚に追加
/276ページ
        ・・・・ 「それとも、好きな人の手前格好つけたかったんでしょうか」 わざとらしく『好きな人』と強調する姉さん。いや、なに? その全部お見通しって笑顔は。 「愛する人のために、ですか。いやはや恋する乙女らしくていいですね。好きな人の側にいたいとか。好きな人を自分の力で守ってあげたいとか」 うわ……。絶対にこの姉は弟の置かれてる状況を屋敷の誰かに聞いてそこから全部確信を持って推論してやがる。 姉さんはくすくすとおかしそうに笑いながらそう言った。 「いい娘じゃないですか」 「……ほんとだよ」 苦笑混じりにそう応えると、姉さんは満足そうに頷いた。 「あんないい娘なんですから、大切にしてあげてくださいよ」 「う…………ん?」 「しかし、まあ。つい最近まで姉さん姉さんと後をついて来て回ってた弟に可愛い彼女ができて姉離れ、なんてのは、何だか寂しいものですね……」 …………あれ?  
/276ページ

最初のコメントを投稿しよう!