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仮面
仮面
「おはよう!!」
「おはよう♪」
「おっは~♪」
教室のあちらこちらから挨拶が聞こえてくる。
皆が挨拶をしてそれに挨拶で返す。
ごくごく当たり前の光景。学校の風景だ。
皆、朝の朝礼前に少しでも友達と話そうと自分の親しい人と集まり会話をしだす。
時折、冗談を交えながら会話しそれに同調するかのように笑い声が聞こえる。
そんな中、教室の隅に独りでなにをするでも無く机に座って教室の風景を興味無さそうに傍観するがの如く眺めている少年がいた。
その少年の見た目は中の下、成績も可もなく不可もなくってところだ。あえて言えばこれもまた中の下と中の上を行ったりきたりしている程度だ。
あぁ…
英語だけは全然駄目だったか……
運動神経だってたいしたものではない。
そんな少年だから影が薄い。
誰から話しかけられることも無く、朝礼の時間までポケ~っとしとくのが彼の日課みたいなものだった。
彼はその時間が別に嫌いだとかではなく。
他の人たちみたいに友達がほしいとか思っているわけでもない。
むしろ彼はこの時間がどんな時間より好きだった。
誰かと関わりあう必要性は無いし、人のしている行動を観察するのが最近は面白い。
別に人間観察が趣味ってわけでもないのだが……
ふっと彼の教室の中心を点にして点対称の位置、つまり教室の入り口の黒板前で笑い声が聞こえた。
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