こわい人。

2/3
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
雨がふっていた。 男の人が呟く。 おとなしくしてろよ。 ぼくは、独りぼっち。 「あの猫はどうする?」 女の人が煙をはきながらため息をつく。 となりの男の人は笑いながら、言った。 「捨てればいいだろ」 ぼくのことだ。 「そうねえ、貰ってくれる友達いないし」 女の人は真っ赤なくちびるの両端をつりあげると、足元にあるぼくが入ったケージを蹴飛ばした。 「ごめんねぇ、子猫チャン。この人猫嫌いだから仕方ないの」 “猫嫌い”な男の人がそれを聞いてゲラゲラわらう。 ああ、すてられる。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!