捨て猫万歳

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ザァァァァァ― ひどい雨だ。 捨てるのは構わないが、せめて屋根のあるところに置いてほしかったぜ。 これじゃぁ、風邪引いちまう。 みかんの段ボールにタオルが一枚敷かれ、俺はその中に入れられた。 「いい人に拾われてね。本当に……ごめんね。」 前の飼い主が、俺に言った最後の言葉。 “いい人”って誰だよ。 俺にはそんな事分からないし、そもそも選ぶ権利も無いだろ? 別に、いいよ。 独りでも。 俺は捨て猫で十分だ。
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