舞踏会

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「おいっ、君。聞いてるのか?」 ゴテゴテ男が肩を掴んできた。こいつのことすっかり忘れてた。 「は、はいっ。もちろんですっ。あ、ワインもう一杯いかがですか?」 「んー…。いただこうかな。」 赤ワインだけ渡し、そそくさとゴテゴテ男のそばを離れることにした。 ~~♪ そのときオーケストラの演奏がはじまった。大広間の真ん中のスペースに、政が出てきて礼をする。すぐ後にはユキさんも…。二人がワルツにのって踊り始めると、会場中が息をのんだ。 いつも地味で目立たないユキさんが、華やかに見えた。とっても…上手…、きれい…。会場からは、‘ほぉ!’と感嘆の声もあがった。 二人が踊る姿にくぎ付けになる。まただ…二人の周りだけ空気が違うみたい。 二人が一曲踊り終えると拍手が沸き起こった。そして何組かのペア―――その全てがお客様と奴隷のペアだが―――がダンスフロアに進み出た。
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