嘆き多きこの世界

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俺:「すみませーん。」 事務所は明らかに廃墟的な感じだった。 誰もいないか…と思っていると、 ガチャ 見知らぬ男が顔を覗かせていた。 俺:「誰だ?あんた。」 男:「誰と言われてものぉ~。わしはホームレスじゃから名前を聞いても意味ないぞ。」 なんだ?このじぃさん。 名前教えたくないのか? というよりホームレスなのか。 俺:「どのくらい前から住んでんだ?」 ホームレス:「そうじゃなぁ~、一年半ぐらいかの~。」 一年半!?連絡がつかなくなった頃に近い。 俺:「中に入らせてもらっていいか? 以前、この事務所を利用していた者だ。」 ホームレス:「構わんよ。 ほれ、入りなされ。」 やはり一度ホームレスが入ってしまうと変わるか。 中は荒らされた感じが残っている。 ホームレス:「奥も見ますかい?」 俺:「いや結構だ。 邪魔して悪かったな、じぃさん。 礼と言っちゃ何だが、これでも受け取ってくれ。」 俺は持ってきたアタッシュケースの中から100万円を取り出し、じぃさんに渡した。 ホームレス:「おぉ! ありがたや、ありがたや。」 さて、次はペンションに行って見るか。 ペンションにも連絡はつかなかったからな。
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