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君も昔を懐かしいと
昔はよかったと感じて
追憶に捕われるのかい?
「君は鳥のようだね。」
昼下がり、君の護衛を引き受けた僕は、休憩中僕のいれた紅茶を飲む君に問い掛けた。
「突然どうしたんですか雲雀さん?」
「何となく…かな。」
「……雲雀さんの方が鳥っぽいじゃないですか。主に名前が…ですが。」
そう言ってくすくすと笑う君は誰もが見惚れるくらいに美しかった。
「君は自由を好む。」
「束縛よりは自由が好きですね。でもそれは雲雀さん、あなたもでしょう?」
「勿論。束縛何て窮屈でしかないよ。でも僕は自由の代わりに止まり木を失ったんだ。」
「止まり木…ですか?」
「そう、止まり木。鳥はさ、自由に空を飛びわまれるけど休む止まり木がないと死んでしまうんだ。君も、止まり木を本当は必要としている。違うかい?」
「…………。」
「でも君は君であると同時にボンゴレのドンなんだ。まぁ、全然そんなようには見えないけどね。だから…止まり木を作れないんだ。休みたくても、癒して欲しくても、止まることが許されない。」
「………。」
君はそれから黙ってしまった。
「雲雀さんも…やっぱり鳥みたいですね。」
不意に君が口を開いた。
「??」
「だって、雲雀さんも止まり木を必要としているでしょう?」
一瞬、息が詰まりそうになった。
「……そうかもしれないね。もしそうだとしたら…君が僕の止まり木なんだね。」
「俺…が?」
「うん。だって、君の傍に居るだけで、こんなにも心が満たされる。」
君は顔を赤くして、花の咲くように笑った。
「………僕は……。君の止まり木になりたかったんだ…。」
「俺はいつだって止まり木を必要としているし、実際たくさんの止まり木で休んでいます。そして勿論雲雀さんにも俺は癒してもらっているんです。ボンゴレのドンはたくさんの止まり木によって支えられているんです。」
あぁ、こんなにも君の傍は癒される
満たされる
心地よい
どうか今だけはこのまま僕のものでいて………
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