4738人が本棚に入れています
本棚に追加
/394ページ
部屋の中に兄の死体があるという、最悪の結果でない事に、彼女は安心の溜め息をもらす。
管理人も自身の管理するアパートで、死人がでていない事に安堵し、鍵を後で返してもらうと約束をすると、先に帰って行った。
1人部屋に残った彼女は、まずテレビを消す。
出掛けているのだろうかと、テーブルに置かれたコーヒーを見、そう考えたが、よく見れば飲まれた形跡はなく冷めている。
部屋を調べようかと思ったが、それよりもう一度兄に電話する事にした。
かけたと同時に部屋に響く着信音。
その音に少し驚いたが、この部屋がその発信源だと知り、携帯を探し始めた。
パソコン用のデスク上にそれを発見し、すぐさま取り上げ、自分の携帯を閉じた。
小さなランプが点滅する携帯、悪いとは思いつつ中を確認していった。
着信履歴はここ数日、不在着信ばかりである。
親と自分、記憶が正しければ兄の彼女の名前が連なって並んでおり、どれもが不在扱いである事がわかった。
メールも数10件、確認された形跡はない。
それを見た彼女は、急に兄が心配になり部屋を物色しだした。
最初のコメントを投稿しよう!