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就業時間を大きくこえ、残業の為、会社に遅くまで残る男性社員がいた。
その男性以外、フロア内に人のいる気配はない。
彼が作業をするデスクに備え付けられた簡易的な蛍光灯。
それによる光源がなければ、フロアの大半は闇に包まれているだろう。
社内に取り付けられた掛け時計、時刻は夜九時を過ぎている。
(ふぅ、思ったよりかかったな)
壁にかかる時計に目をやり、男性は大きく伸びをした。
残業に区切りをつけ、仕事を終わらせた男性は、パソコンの電源が落ちるまでに、手早くデスク上を整理し通勤用の鞄に私物をしまい込んでいく。
独身の彼の部屋には、彼の帰宅を待ってる人は誰もいない。
そんな彼にとって九時過ぎなど、まだ夜の入り口と変わりなく、時間的には余裕があった。
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