記憶~独奏~

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あたりが朝日につつまれ白く輝くころ、お互いの会釈で『会話』は終わった。 とても満ち足りた気分でいると、僕のお腹が突然鳴った。 顔を見合わせ笑う、不思議と笑いが止まらない。 それから、彼女は僕の手に小さな薄紅色の包みをのせてくれる。 包みの中身は、琥珀色のドロップだった。 彼女は、草葉に落ちた朝露を飲むようにドロップを口に含んだ。 僕も真似をして口に含む。 春に咲く花のような甘い香り… そこで、幼い日の記憶は途切れた。
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