品格レストラン

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「オードブルです」 低い声と共に金髪のボーイが二人現れた 言葉を発した方の一人は切れ長の目をした青年である。言葉少なに料理の説明をしながらナイフで小さく切り分けていく 「キャンドルサービスでございます。大変お熱くなりますので、キャンドルにはお手を触れぬよう、ご協力ください」 もう一人の青年がキャンドルに火を灯す 炎が揺れて青年の顔を照らす 少々背の低い彼は整った顔をしていた 「キャンドルが灯ったところで、お食事をどうぞ」 女がオードブルに視線を戻すとフォークに乗せて差し出されていた 「そうね、いただくわ…」 女は受け取らず、青年にフォークを持たせたまま料理にかぶり付いた メインディッシュを運んできたのは黒髪の男だった 金髪の青年達は入れ代わりで下がった すらりとしたシルエットラインと柔らかな物腰に女は息をのんだ 料理説明が終わる頃「失礼いたします」と長身の男がワインを持ってきた 女性と見間違うほどの美貌に女は目を丸くした 「どうかいたしましたか?」 柔らかいブラウンの髪を耳にかけふわりと微笑を浮かべる 「なんでもないわ…」 ふぃっと視線を外す とくとくと注がれるワインは赤だった それを横目黒髪の男にメインディッシュを口に運ばせた
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