142人が本棚に入れています
本棚に追加
/89ページ
「オードブルです」
低い声と共に金髪のボーイが二人現れた
言葉を発した方の一人は切れ長の目をした青年である。言葉少なに料理の説明をしながらナイフで小さく切り分けていく
「キャンドルサービスでございます。大変お熱くなりますので、キャンドルにはお手を触れぬよう、ご協力ください」
もう一人の青年がキャンドルに火を灯す
炎が揺れて青年の顔を照らす
少々背の低い彼は整った顔をしていた
「キャンドルが灯ったところで、お食事をどうぞ」
女がオードブルに視線を戻すとフォークに乗せて差し出されていた
「そうね、いただくわ…」
女は受け取らず、青年にフォークを持たせたまま料理にかぶり付いた
メインディッシュを運んできたのは黒髪の男だった
金髪の青年達は入れ代わりで下がった
すらりとしたシルエットラインと柔らかな物腰に女は息をのんだ
料理説明が終わる頃「失礼いたします」と長身の男がワインを持ってきた
女性と見間違うほどの美貌に女は目を丸くした
「どうかいたしましたか?」
柔らかいブラウンの髪を耳にかけふわりと微笑を浮かべる
「なんでもないわ…」
ふぃっと視線を外す
とくとくと注がれるワインは赤だった
それを横目黒髪の男にメインディッシュを口に運ばせた
最初のコメントを投稿しよう!