見えない壁

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「あの」 この雰囲気に耐えかねて優羽は声をかけた。 「私はあなたのこと何て呼んでたんですか?」   「え?」 彼は思いがけない質問をされたかのように見えた。   「……清貴って呼びたい?」 逆に質問で返された。 なんだか遊ばれている感じがして、どうもうまくコミュニケーションが取れない。 「いえ、司さんて呼びます。 ……とりあえずは」 一瞬彼はまた、なんだか悲しそうな、それでいて口元には小さな笑みを浮かべているような、複雑な表情をした。
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