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「しかし地上の者が古代の石盤を起動させてここに来るなんて、にわかには信じがたいですね。一体誰に遣わされたのです?」
「いや、別に誰かに命令されたとかじゃないんだけど。
でもさ、天空と地上は関係を断っているはずなんだよな? なのに、俺たちはある人物からこの天空に来る魔法陣を知ったんだ。
関係が断たれてるはずなのに、なんでその方法が出回ってるんだよ」
「きっと、どこかでひっそりと神話が語り継がれていたのでしょう。
そして時を経て、こうして真実にたどり着く者が出てきた」
啓祐は考える。
(教祖はどこかで遺物的な伝承を見つけ、それを記憶した。
そしてそのメモかなんかの一部がミレン地方の闇市に流れて、俺たちが手に入れた)
ここで天宮が一歩前に出る。
「一つ良いかしら? さっきあなたが言っていた、エルセルムの秘宝っていうのは?」
「それは教えられません」
当然、それを護る者としては教えられないだろう。それでも天宮と城島は引き下がらない。
「形のあるものなのか? それとも抽象的なものなのか?」
「形のあるものです」
天宮と城島は顔を見合わせ、頷く。その秘宝の中に自分たちが探し求めるもの、キーアイテムがあると読んだ。
啓祐はそんな二人の様子から何かを察した。
「あのさ、しばらくエルセルムに滞在したいんだけど、大丈夫か?」
それにはジュリアが答える。
「うむ。良いだろう。むしろしばらくは滞在してもらいたいと思っていたところだ。自由に地上と行き来されては、変に目立つ可能性があるからな。
ただし、監視はつけさせてもらう」
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