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とある、初夏の日…
某県茂馬市―
俺、野村涼介(のむらりょうすけ)は、自宅でベッドに寝転がり、ボーっと雑誌を読み耽っていた。
高校を卒業してから、職を転々とし、気がついたら21になっていた。
現在も、親と同居しながら、バイト生活や。
バイトは、キャバクラのボーイ。
時給が高いのと、元々夜型人間であったこと、そして、元所属していた暴走族、『魔流破夜』の先輩がキャバクラの店長をやっている事もあり、コネでキャバクラの店員をはじめた。
それといってやりたい仕事もなく、可愛いキャバ嬢と仲良くなれるかも?
…という、単純で安易な理由で、勤め始めてもうすぐ1年…
店長(先輩)からの『社員になれ』という熱烈なラブコールを断り続けているものの、いつまでもバイトなんかやってられへん。
かと言って、キャバクラには就職する気など、さらさらなない。
おかんからは、毎日のように、
『就職しろ』
…と、鬱陶しい小言を言われる。
俺…
何がしたいねやろ…?
雑誌を読みながら、ふと…そんな事を考えてみた。
ん…?
もうそろそろ出勤の準備する時間やな…
俺は、雑誌を閉じると、枕元に放り投げ、シャワーを浴びに向かった。
17時…
キャバクラ
『Mermaid girl』
涼介
『おはよーっス…』
店長・中村恵太(なかむらけいた)
『おーう✨おはよーさん✨今日も頼むでぇ✨』
涼介
『店長…何してんでっか?』
恵太
『店内をリニューアルしよ思うてんねんけど、どんなんがエエかなぁ…と…』
恵太は、ボックス席のテーブルに、大量のカタログを広げ、それに目を通しながら、出前のラーメンを食べていた。
涼介
『リニューアルでっか💧』
恵太
『うん…ウチの店、なんか地味ちゃう?』
涼介
『十分派手な気が…💧』
恵太
『ほーかぁ?もっとこう…パーッと明るくやな…』
涼介
『十分やないっスか💧』
恵太
『うーん…』
涼介
(とりあえずほっといた方がエエな💧)
涼介は、開店準備に取りかかった。
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