2人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
ここは、マリオネットキングダム、“1st Castle”…栄光と真実の城。女王グロリアが国を治めるための本拠地。
細かく言うと、この姉妹が話している部屋は王室で、白く美しいタイルが綺麗に敷き詰められ、エンタシスが建ち並んでいる神殿のような場所だ。
グロリアはその白とは相反する黒のドレスに、小さなクラウンを身につけている。長い銀髪は結ばずに垂らしている。
口さえ開かなければ絶世の美女であるのだが、毒舌にオテンバという性格から、城の者には影で“魔女”と呼ばれている。
もちろん、そのようなことをいう家来には絶対的な制裁を加える。
なんだかんだいっても、グロリアは国の英雄であり、頭脳明晰、国の統制と悪状況に対する対応の的確さもあり、国民の信頼は厚い。
その能力を妬む者もいたが、単なる妬みにすぎず、憎しみにまではいたらなかった。
ホーリーは慈悲深い性格故、家来には“天使”などと呼ばれている。
最近太ったことを気にしているが、誰も何も言わないことから、ホーリーは意外に神経質な性格であったりもする。
容貌はグロリアと殆ど変わらない。強いて言うなれば、上の色がグロリアよりも明るい。そして、目の色が違う。
グロリアのクリアブルーの瞳に対して、ホーリーはエメラルドグリーンだ。
「それにしても、退屈だわ……」
グロリアが玉座の肘掛けで頬杖をつきながらホーリーに言った。
ホーリーは少し考えてから答える。
「では、紅茶でもお飲みになりますか?ケーキなども……」
「甘いものは嫌いよ。ハバネロパンはないのかしら?」
「そんなもの体に悪いですよ?それに私は辛いのは嫌いです」
「あんたの好みなんて聞いてないわよ。大体、退屈しのぎにティータイムなんかするから太るのよ」
「別にいつも退屈しのぎをティータイムに当てているわけではありませんよ! 大体、お姉様が退屈って言うから……」
「はいはい、言い訳しないの。私の退屈をケーキを食べる口実にしない」
「うぅ……」
グロリアの言葉に黙り込むホーリー。図星だったらしい。くだらない話が、グロリアの暇の度合いを物語っている。
「フレアがいないと張り合い無いのよ……」
グロリアが静かに呟いた。憂鬱な目で遠くの空を見る。
最初のコメントを投稿しよう!