悲しむ彼の顔

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  「あっ、やっと起きた。大丈夫ですか?目、覚めました?」 ゆっくり目を開くと、そこには見慣れない景色が広がっていた。 見渡す限り白、白、白……。 建物どころか草1本生えていない。太陽も月も空も何もない。上も下も、右も左も、とにかく全てが真っ白な世界だった。 「あなた誰……?」 そして目の前には、心配そうに私を見つめる小さな女の子。 真っ黒な長い髪と、真っ黒な大きな瞳。真っ黒なワンピースに身を包んでいて、片手に斧。 真っ白なこの世界には似ても似つかない。女の子だけがこの空間から、ポッカリ浮かび上がっているみたいだった。 女の子は倒れている私の隣りにしゃがみこむと、私を起こしながら答えた。 「私ですか?私は死神です」 「し、死神っ!?」 女の子は私を抱き起こしながら、目を丸くしている。 「あれ?覚えてないですか?アナタ死んじゃったんですよ」  
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