第一章 アタシは誰……?

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あなたは誰……? いつもアタシの前に現れては何も言わずに消えてしまうあなた……。 でも、あなたはアタシに何か言いたいことがあるんじゃないの……? そして、あなたなら知ってるんじゃない……? アタシが誰なのか……。 アタシはまたあの夢を見て目を覚ました。 最近いつも同じ夢を見て目を覚ます……。 アタシはいつものようにベッドから起き上がり、バスルームに行き、熱いシャワーを浴びる。 目覚めのシャワーは本当に気持ちいいと思う。 シャワーを浴び終えたアタシはいつものように服を着て下に降りて行く。 テーブルの上を見るといつものように朝食が用意されている。 今日のメニューは、フレンチトーストにベーコンエッグ、それにミズナと大根のサラダだ。 アタシはいつものようにアタシの席に着く。 「おはよう。リサ……」 「おはようございます。センセー……」 この人は“センセー”。 おかしな名前と思いながらもアタシにそう呼ばせる変わったおじいちゃん……。 そして、アタシを“リサ”と呼ぶ……。 この人はアタシの昔のことを知っているようだ……。 だけど、名前以外は何一つ教えてくれない……。 アタシが深く追求しようとすると、ボケたふりをしてのらりくらりとごまかしながら、いつの間にか話をはぐらかしてしまう。 センセーはやさしいけど、絶対に何か隠してる……。 そう思いながらもアタシはどうすることもできなかった……。 お金も持っていないからどこへも行けなかった。 それにどこへ行っていいのかも分からない……。 ここには何でもあるし、特に不自由したことはない。 でも……。 アタシはどうにもやりきれない気分になる時があった。 センセーは「時が来れば全てを話す……。今はまだ早い」と言う……。 アタシの記憶の鍵をセンセーは握っている。 このセンセーがアタシの秘められた過去を知っている……。 【続く】
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