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「あーぁ。裸足だし、髪もぐしゃぐしゃだぞ?」 いつもはふわふわな髪が、ボサボサだ。 そんな姿すら愛しくて、気づいたら、抱き締めながらその髪をそっと撫でていた。 『ック…ひっ…ぅ』 俺の腕の中で、小さい身体が震えている。 少しでも震えを抑えてやりたくて、抱き締める力を強める。 それにしても、どうしてコイツがここにいるんだろう。 今日、俺は日本を発つ。 カメラの勉強をするために、海外に行こうとしていた。 乗り遅れちゃマズイから、出発時間よりだいぶ早く空港に着いた。 まだ余裕があったから、空港内をぶらぶらしていたら、聞こえた。 俺の名前を呼ぶ声。 最初は、自分のことだと思ってなかった。 だけど、名前に馬鹿をつけて呼ばれて。 しかも、聞き覚えのある声で。 まさかと思って、声のする方に向かうと…コイツがいた。
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