20㌢

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少しだけ広い助手席   片手ハンドルのあなたの隣      ふたりの間の20㌢   近くて遠くてもどかしい        膝に置かれたリズム刻む左手に   近付きたがる私の右手     あぁ、もしも触れたなら   止まらなくなる   打つ脈も まばたきも   熱い想いに比例して       短い長い笑みこぼれる瞬間   会話が途切れ張り詰めた瞬間   男らしさの染み出た左手に   伸ばす引っ込める臆病な右手       勇気を出してつついてみたら   くるり左手   重ねた右手 強く握りしめられた     熱い想いは加速する         あぁ、触れただけで   伝わる温もりが   安らぎも 切なさも   次々と走ってやってくる       あぁ、もう離したくない   代わりなんてないその左手に   愛しさを 苦しみを   元気を 勇気を ときめきを   いつまでも……巡らせて きつくきつく握り返す     ただこの温い一瞬が     永遠へと変わる事を夢見て…      
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