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子竜の鳴き声が草原に響く。
か細い声だが、それでも凛として鳴くその姿は、他の生物にはない力強さを感じる。
柔らかな風を受けて、雨宮陽はその声を寝転んで聞いていた。
ここは『ROAR OF DRAGONS』というゲームの仮想世界。
言わばゲーム世界だ。
前方には広大な草原。
少し後方には街。
青、と呼べる綺麗な空。
その空で優雅に飛びまわる竜。
草原を駆けるプレイヤー。
遠くに見える山々がその景色の美しさを一層際立たせていた。
陽はその風景に合った穏やかな雰囲気を持っていた。
成長期が遅いのか、まだ高校一年生にしては顔つきは幼い。
身長も160センチ。
髪は短髪で好青年と感じさせる髪型。
瞳の奥に温かみを持つ青年だ。
陽が腰をあげると軽快な音を走らせ、子竜が近づいてくる。
彼の相棒になった竜だ。
「良くなついてるな」
「まぁ、ヒロの竜よりはね」
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