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陽は後ろから聞こえる声を友人の橘ヒロだと気付き、振り返ると同時に笑いながら多少の嫌味をかける。
その様子から彼らの仲の良さが伺えた。
橘ヒロは陽の高校の同級生であり、そして幼なじみでもある。
身長は175センチ。
髪は長く、光沢がかった茶。
通った鼻筋に、艶やかな瞳。
その容姿からはゲームなどする雰囲気を感じさせなかった。
だが彼はゲーム情報に深く精通し、その知識は一般よりも遥かに勝っていた。
「俺の竜、俺に敵対心を剥き出しなのだが……」
冗談と取れる発言だが、足元で彼の足を噛みついている子竜を見ると冗談とも言えない。
「それもなついてるって事なんじゃないの?」
陽は微笑を浮かべた。
「そうだといいが……。それにしてもここはゲームの世界と思えないくらいリアルだな」
ヒロは周りを見渡した。
その目に見える全てがデータであり架空の世界。
風で草花が揺れる音も、遠くで囀ずる鳥たちの声も、彼らには全て感じとれていた。
だが彼らはまだ、この世界に慣れていないようだ。
数時間前に初めてこの世界に来たのだから無理もない話だ。
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