Secret.00 プロローグ

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例えば、その主人公が気弱だったとする。 主人公はずっと独りでいた。明るい明日なんか見えなかった。   すると物語はその主人公が変わる何らかのきっかけを与え、主人公は心も体も強くなる。   周りには誰も居ない。そう思っていたのに、気付けば隣には沢山の仲間がいた。 そしてその仲間と共に、世界を救うために最後のボスと戦う。 信じられる、仲間と共に。 気弱で、友達なんか一人も居ないはずの自分は、いつしか世界の救世主、ヒーローとなっていた。 ボスを倒し、無事に帰還する主人公。 その主人公は、その後どうなるだろう? 英雄として、一生を讃えられて過ごすのか。 それとも、日常を送るも変わった自分で新たな生活を歩むのか。 はたまた、実は主人公は異世界人で元の世界へと帰るのか。 ……元の、暗い暗い生活へと、戻ることはないのだろうか? なんて。 こういう物語は、主人公が勝ち気であろうと気弱であろうと、ヘタレであろうと軟弱であろうと、最後には幸せが待っていると相場で決まっている。 たとえその途中でどんな不幸が降りかかろうとも、ね。 でもそれはファンタジーの話。ここはリアル、現実だ。そう上手くいくワケが無い。気弱な性格だと、全てにおいて損をする。
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