第1章 現実の世界 そして覚醒‥‥

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達也は心に深い傷を負っていた。 父である正人は行方不明になり、母のは"ある事件"により、この世を去ってしまい一人だったからだ。 その後心を閉ざしてしまい、ほとんど話すことが出来なくなった。それがつい最近の話である。 達也は見捨てられていた。誰も彼を助けようとはしなかった。 そんなある日、達也が部屋で転がっていると、チャイムが鳴った。 「……はい」 無気力状態の達也は気の抜けた返事を返して、扉を開けた。 そこには一人の男が立っていた。 「どうも、初めまして。俺の名は影山蒼明だ。 隣に越して来たんだ、よろしく頼むよ」 見た目は達也よりも少し年をとっている程度だろう。 二十歳前後だろうか。明るそうな男だ。 「ええ、よろしくお願いします……すみませんが、失礼します。 いろいろありますので……」 そう言うと、達也は扉を閉めた。 「……やはりか」 蒼明がポケットから何かを取り出した。 小型テレビのようなそれのスイッチを入れる。 すると、 「どうした? 影山」 その画面にある男の姿が写し出された。
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