7人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
僕は広場に足を踏み入れた。
少女が僕の姿を捉え歌うのを止めた
「良かった。剣が見つかったのね」
少女は可愛らしい笑顔を僕に向けた。
僕はなんだか気恥ずかしくて目を反らした
「良い歌だね…」
照れ隠しのつもりで聞いた。
少女は真っ直ぐ僕を見つめてまた微笑んだ
「“風のさかな”っていう歌よ。」
「そぅ……君は…」
少女の名前を聞こうと思ったが少し躊躇われた。
そんな僕を悟ったように少女は言った
「私はマリン。この島にずっと暮らしているの」
気持ちの良い風が吹いた、マリンは真っ直ぐな瞳で空を見上げた。
「………っあ、の……ま、迷いの森ってどこにあるか知ってる?」
思わずマリンの横顔に見とれそうになり、僕は話を変えようと思った。
「迷いの森?ちょうど良かった!今タリンが森にキノコを取りに行ってるんだけど、中々帰ってこないのよ。見てきてくれる?」
マリンの顔がパッと明るくなった
「迷いの森は村を出て北に進めば見えてくるわ。でも迷いやすいから気を付けてね。」
「分かった」
村を出ようとしたとき、また歌声が聞こえた。
なぜか気になる歌声だった。
最初のコメントを投稿しよう!