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◆◇
「…………」
最西の部屋に一歩踏み入れたところで公雅(きんまさ)は言葉を無くした。
まず彼を襲ったのは、臭気。部屋のあちこちから立ち込める血生臭さ。
胃を乱暴にかき混ぜられたような吐き気を覚え、公雅は慌て庭に駆け込んだ。
胃液を吐き出し、咳き込めば、口の中の苦さより何倍も強い嫌悪感が、彼を襲う。
公雅の脳裏に、一瞬で、凄惨な殺人現場の情景が焼き付いてしまっていた。
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