17 風にのせて(後編)

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 あれほどに家臣を従えて出ていったというのに。  そもそも、国の主たる父が、単独行動をすることがありえない。同行した家臣たちが、それを許すわけがないのだ。  しかも、父の様子もおかしい。  まるで、どこをどう通ってきたか覚えてないというように、呆然と一点を見つめている。  不思議に思った馬番が首をかしげ、おそるおそる馬上の父に声をかけたのが見えた。 「と、殿……」  しかしまったく反応がない良兼に、馬番ほとほと弱り果てた顔になる。  きっと、父は戻って来てからずっとこの調子なのだろう。どうしていいかわからないようだ。 「父上!」  やっと、声の届く距離に来た公雅は父を呼んだ。  父が首だけを動かし、こちらを見る。
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