1.秋風に舞う君

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「じゃあ…目をつむって?」 真っ赤になったまま零也はうつむいていた顔を上げ、逸らしたくなる目を必死に固定して散葉を見据えた。 「…今度は…僕から…しちゃだめですか…?」 「え…!?」 「な、何を言ってるんですか!」 「ひゃあぁぁぁああ!?」 不意に二人の世界に入ってきたのは咲夜だった。どうして彼女はいつもいつも急に現れるのだろうか、心臓が止まるかと思った。 「私というものがありながら!何が…キスしたいですか…!火災の反応があったから心配して来たのに…明白な裏切りです!ひぇぇぇぇん!」 「ご、ごめんなさい!?な、泣かないでください」 「ちょっと零也くん、ごめんなさいってどういうこと!?」 「ち、違うんです散葉さんっ」 「なにが違うんですか、零也さん!」 あぁぁ!どうすればいいんだろう!? なんだか浮気がバレてしまったような複雑な零也は困り果てた。そこに救いの手が差し伸べられた。 「おぉ、修羅場だな零也」 「ま、政基くん!助けて!」 「じゃあ俺と結婚するか?」 政基と結婚? オランダに移住しろと? しかし、今の零也にまともな思考などできない。 「た、助けてくれるなら…」 「殺す!どさくさに紛れてなにしてんのよ!刻んで燃やしてやる!」 「火事場泥棒ですか、あなたは!」 「俺としては幼児の零也に婚約させたあなたに言われたくないです」 もっともだと少し冷静さを取り戻した零也も思った。
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