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「じゃあ…目をつむって?」
真っ赤になったまま零也はうつむいていた顔を上げ、逸らしたくなる目を必死に固定して散葉を見据えた。
「…今度は…僕から…しちゃだめですか…?」
「え…!?」
「な、何を言ってるんですか!」
「ひゃあぁぁぁああ!?」
不意に二人の世界に入ってきたのは咲夜だった。どうして彼女はいつもいつも急に現れるのだろうか、心臓が止まるかと思った。
「私というものがありながら!何が…キスしたいですか…!火災の反応があったから心配して来たのに…明白な裏切りです!ひぇぇぇぇん!」
「ご、ごめんなさい!?な、泣かないでください」
「ちょっと零也くん、ごめんなさいってどういうこと!?」
「ち、違うんです散葉さんっ」
「なにが違うんですか、零也さん!」
あぁぁ!どうすればいいんだろう!?
なんだか浮気がバレてしまったような複雑な零也は困り果てた。そこに救いの手が差し伸べられた。
「おぉ、修羅場だな零也」
「ま、政基くん!助けて!」
「じゃあ俺と結婚するか?」
政基と結婚?
オランダに移住しろと?
しかし、今の零也にまともな思考などできない。
「た、助けてくれるなら…」
「殺す!どさくさに紛れてなにしてんのよ!刻んで燃やしてやる!」
「火事場泥棒ですか、あなたは!」
「俺としては幼児の零也に婚約させたあなたに言われたくないです」
もっともだと少し冷静さを取り戻した零也も思った。
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