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やっとコーヒーを運んできたウェイターが、困惑したように去ってゆく野田と慎治を交互に見た。慎治は俺の分だけもらいます、と苦笑してコーヒーを一客、受け取った。
――兄弟揃ってとんでもねぇブラコンっぷりだな。
「ホントに分かってんのかね、ニーサンよ」
さして苦くもないコーヒーを啜って、慎治は苦々しく笑った。
コーヒーを飲み終えて、内ポケットから携帯を取り出した。掌に収まる銀色をじっと見詰める。
――決心が揺るがない内に。
慎治は歩の番号を呼び出した。
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