…幼き記憶…

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あれは確か…まだ5歳くらいだったろうか。 僕は行商人の叔父について砂漠を渡っていたんだ。 『あぢぃ~』 『だから着いて来ても楽しくないって言ったろう』 僕は砂漠の暑さにすでに出発の元気など消え失せていた。 ここはココット村とポッケ村を結ぶ、砂漠のど真ん中なのだ。 『だってぇ…お家には、楽しいことないんだもん』 この少年の両親は狩人…ハンターであった。 たびたび家を空ける両親に代わって、世話してくれるのがこのラーク夫妻なのだった。 少年の母の兄に当たるのがラーク夫妻というわけだ。 『お父さんもお母さんもお仕事なんだ』 『そんなこと…分かってるもん』 『なら大人しくしてるんだぞ、ルッツ』 少年の名はルッツ・カートンと言った。
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