第42話:子守

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  (早く、早く……!) 懸命に走っているが、なかなか着かずもどかしい。 ようやく近所の病院に到着すると緊急なことだと受付で訴え、すぐに診てもらえることになった。ここはDが産声をあげた場所。心配はいらないだろうと、ホッと胸を撫で下ろす。心配ありませんよと医者は言い、処置を始めてくれた。その間、俺は診察室の外の廊下でうろうろするしかない。 それから数分後。パタパタという忙しない足音が静かな廊下に響いてきた。急患かと思い顔を上げると、走ってきたのはM。急いで出てきたので知らせてはいない。なのに、何故……? 「よくここが分かったな」 声をかけると、Mは複雑な表情でこう言った。 『男の子が教えてくれたの』と。 色々話を聞いていると、Mの言う『男の子』とは、俺が寝室で会った子と同じだった。
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