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「泰平、寝ている間に…そんな奴だったのか?」
ちょい待て!?
「勘違いすんな!布団やん…夏歩寝相悪すぎ。」
「ん?」
夏歩は目を軽くこすりながら、辺りを見回した。
多分、山積みにされていたであろうマンガ本が崩れている。
多分、最初に眠りについた時に枕にしてたであろう、ケロロ軍曹の顔だけのぬいぐるみの位置を確認する夏歩。
「アリバイ工作したのか?」
バカか?
「なんでやねん。寝相の悪さをムービーに撮っとけばよかったぜ。」
そう言うと、夏歩は軽く笑っていた。
が…
突然に表情は一変し、悲しげな表情を見せ、ポツリポツリと話し出した。
「あたし、好きな人いるって、言ったよな?」
「うん。ヤジ君やろ?」
「違うぞ泰平だ…」
え…んじゃ、何故に俺に相談なんだ?
それは相談じゃなくて、告白だぞ?
とりあえず、何て言ったらいいか解らずに、言葉に迷っていると…
「杏奈に聞いたぞ。泰平、悲しかったか?」
A子の事を言ってんのか?
「前の彼女の事を言ってるの?」
「うん…当たり前だよな。ゴメン…」
そう言いながら、夏歩は涙をこぼしていた。
「ちょ…どうした?何で夏歩が泣くんよ?」
「だって…」
と、一言だけ呟いた夏歩の瞳からは、涙がポロポロと流れ落ちていた。
それを見た俺は、夏歩をいとおしく思ってしまっていた…
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