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これからますます寒さが冷え込んでくる10月中旬…街は、真夜中という事もあり人の数は少ない。
さらに、俺の今いる場所…人通りの少ない路地裏。
路地裏といっても、そこそこ横幅があり、車二台分…とまではいかないが一台半くらいはあるだろう。
その路地裏に、わざわざ俺が来た理由は…。
「オイオイ…おっさん、こんな路地裏で何やってんだよ…」
俺の言葉に慌てて振り返る。その男は、黒いスーツを着た歳は30代後半くらい。
社会によく溢れている人間の一人…見た目では…って話しだが。
「だ、誰だ!?」
明らかに普通の精神状態では無い事が、読み取れる。
「俺か?見ての通り学生だ。制服着てんだからそれくらい分かるだろ?」
自分の髪を掻き上げて、少し馬鹿にしたような口調で話す。
「学生!?こ、こんな所で何してる!!!」
冷や汗をかいている…こんな寒い夜に、あの量の発汗…確定か…?
「それは、俺が先にした質問だ。俺に答えて欲しかったらまず、先におっさんが答えろよ」
月光が、黙ったままのただ見つめる俺と黙ったまま殺意を込めて睨む男に分け隔てなく降り注ぐ。
色を染めた事もない俺の黒髪が月光を照り返す。
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