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「……。
取り合えず、乗って」
「え?」
ケイは顎で自分の車の助手席の方を示す。
「いろいろマズイから、校内から出るわ。
もう夜だし送っていくから」
「え、あ……。
い、いいよ、そんなことしてもらわなくても」
桃香はもう迷惑はかけないと決めた。
「これで帰り道通り魔にでも遭われたら、半分俺のせいになるだろうが。
後味も悪いし」
「そ、そんな言い方しなくても……」
桃香は複雑な気持ちになりながらも、急に訪れたチャンスと予期していなかった流れに胸が高鳴る。
「いいから。
早く乗れ」
バタン。
ケイは運転席に先に乗り込んだ。
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