1帖 桐壺 KIRITSUBO

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はじめまして。私、紫式部。 平安時代のバリキャリ。 二千円札をよく見ると描かれている女性よ。 これから私が書いた「源氏物語」のあらすじを説明してあげるわね。 長いけど、お付き合いよろしく。     どの帝(みかど=天皇)の時代だったか知らないけど、後宮に桐壺の更衣(きりつぼのこうい)って方がいたの。 後宮って、帝のハーレムのことよ。 で、この方なんだけど、めちゃめちゃ帝に愛されちゃったのよ。 それっていいことのように思えるけど、そうでもないのよ…   後宮にはたくさんの女性がいるんだけど、まあ江戸時代の大奥みたいなもんで、権力ある人と、ない人がいるのよ。 権力あるのは権力者の娘達。そういう人は「女御(にょうご)」って身分で呼ばれるの。 ところが彼女は「更衣」女御の下の身分なのよ。 そのうえ父親が亡くなっていて、バックアップが弱いのね。 例えると、自分の部下が先に出世したらおもしろくないでしょ? そんなわけで当然、他の女性に嫉妬されちゃうわけ。   気苦労が多いんだけど、帝を頼りにして桐壺の更衣は男の子を出産するわ。 この男の子がまためちゃめちゃ可愛くて、帝はメロメロ。 するとこれにムカつくのが弘徽殿の女御(こきでんのにょうご)。身分は高いし、気は強いし、なんといっても、先に次の帝候補の男の子を産んでるから、気が気じゃない。 この時代の天皇って、長男が必ず継ぐものじゃなかったのよ~   女の嫉妬は怖いわよ。 桐壺の更衣へのいじめは陰湿!! 帝のラブコールで、帝の部屋へ行こうとすると、通り道にう〇こまいたり(マジで!)。 道を両側からふさいで閉じ込めたり。 こんないじめに耐えきれず、桐壺の更衣は病気になって体を壊して亡くなってしまったわ… これってノイローゼからきてるわよね!   帝の悲しみは深かったわ。 年月がたっても恋しさが増すばかり。 そんなとき、更衣にそっくりの女性の噂を聞いて、後宮に入れることにするの。 これが藤壺(ふじつぼ)。噂どおりのそっくりさんで、帝は夢中。
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