第一章 王都クロス

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「アナタが寝過ぎだから、私たちは夜中にここにつくはめになったのですわ」 白狐はやれやれと呟くと、あたりを見回した。 王都は静まり返っていた。 すべての店が閉まっている。 「このまま、どうするつもりです?」 あたたかな布団の中で眠りたい…… 白狐はそう思っているのだが、 「んー、今日も野宿だな」 「なっ……」 あっさり言われ、白狐は少年の肩からずり落ちそうになった。 「マスター!」 すかさず抗議の声をあげる。 「だんこ拒否いたしますわ!」 言う白狐を、少年は不思議そうに見た。 「なんで?」 「なんでって……昨日も、その前も。ここ半月ほど野宿ばかり」 「うん、そうだね。僕たちはツイてるのかもしれない」 少年は夜空を見上げながら言った。 「僕らが野宿している間。雨降らないし。ほら、アーシャ。今日も月がきれいだよ」 と、満月を指差す。
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