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この世は無意味の塊だ。
目につくもの全てに意味がない。
僕の通う高校も、クラスも、町も、店も、そして人にさえ意味などない。
そいつがいなくなったら、そいつの代わりがいくらでも現れる。
実際、姉は死んだが、社会は何事もないかのように回り続けてきたではないか。
きっと、僕が死んでも世界は回り続けるのだろう。
かと言って、自殺したい訳じゃない。
世界を変えようとは思わない。
変わらないことを知っているからだ。
むしろ、僕が恐れているのは変化ではないかと思う。
“…次は移動教室か”
教科書などを揃えると、僕はイスから立ち上がり、《左足》から歩き始めた。
5年前からのジンクスだ。
《踏み出す足が違うと未来が変わる》。
それが本当なら、僕が《左足》で歩き始める限り何も変わらないだろう。
何もない、無意味な僕のままでいられる。
何も持っていない、ただただ流されるように生きていける。
人生に目的なんていらない。
死んだら、目的のために積み上げた全てが無駄になるからだ。
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