芸術の秋

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  秋色に染まった紅葉のように、あなた色に染まった私は、…もう、元の色には戻れない。 私は気付いていた。あなたに女の影を……。 だって、抱き方が変わったもの。 それに、接吻もしてくれなくなった。 判るわよ、そのぐらい。 私より若い女?…多分、そうでしょうね。 「ね、別れてあげるわ」 「えっ?」 驚いたように目線を上げた史朗の目が、一瞬、笑ったように見えた。 「その代わり、最後の旅に付き合って」 「……」 目を伏せた史朗の表情は、いかにも迷惑そうだった。
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