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古代ギリシャにイカロスという人物がいた。
正義感が強くとても勇気のある青年であったが、暴君と恐れられたミーノース王の不興を買い、クレタ島にある塔に幽閉されてしまった。
処刑を待つのみとなったイカロスだったが、彼は蝋で鳥の羽を固めて翼を作り、塔から飛び立ち脱出した。
天高く飛んだイカロスであったが、高く飛びすぎたため太陽の熱で蝋が溶かされて海に墜落死した。
世界には誰もが知っているそういう物語がある。
しかし……ここから先は誰も知らない物語。
海に墜ちて命を失ったイカロスは心の翼を広げて太陽へと飛んで行った。
イカロスの翼は勇気の翼。
イカロスの翼は心の翼。
誰もが持っていながらも、誰もが広げる事の出来ない翼。
その翼を広げられた時、その者は勇者となる。
これから始まる物語はそういう物語。
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