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「誰もいないみたい…一人暮らしだったのかな?」
それは有り得ない事ではない。
誰にだっていろんな事情がある。
「とりあえず入ってみよーぜ。」
レイは辺りを伺いながら俺を抱いて玄関を開けた。
何か怪しいぞ…俺たち。
家は平屋で和室が2つと台所や風呂といった感じでこじんまりしていた。
やはり一人暮らしだったらしい…誰が片付けたのか家具らしい家具はほとんどなく、和室の隅にはいくつかダンボール箱が積まれていた。
「ん?」
ダンボール箱の間に何か…
「どうしたの?裕太くん。」
本?いや違う。
「アルバムだ。」
ちょうど俺が潜れるくらいの隙間だ。
「何かの手がかりになるかもな。」
俺はアルバムを引きずり出した。
埃をかぶったアルバムを開いてみた。
それほど写真が貼ってあるわけではなかった。
数枚の写真…赤ん坊が写っている。
「女の子ね、八代さんのお子さんかな?」
「どうだろな?結構古い写真だな。」
俺はとりあえず八代今日子の残した匂いを確認する事にした。
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