第五章、あのさ恋ちゃん

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ふたりは『力』を用いて、ぶつかりおうと地面を蹴る。 よりはやく、ふたりは体を引っ張られる感覚を覚えて、硬直した。 腕をかたい『何か』に包まれている……。 男ははっと、少女は表情を強張らせて、葵のほうを見る。 「それ以上、めんどくさいことばかりしていると貴様らの腕を別の『場所』に消すぞ」 ひどく冷めた眼差しで。 表情こそ変化ないが、静かな怒りを感じられた。 「悪かった」 「……すいません、ですぅ」 男はばつが悪そうに、少女は怯えたように謝る。 葵はふたりを一瞥し、 「燐【りん】。お前に朗報だ」 「……何です?」 少女は顔をあげた。 「お前の『探しモノ』が見つかった」 「えっ!?」 少女は弾かれたように反応した。 「まさか姫様が!?」 「あぁ。そのことで話がある」 「ぜひ!ぜひ聞かせてくださいですぅ!」 そう聞かれて葵は少女が知りたかった『情報』を口にした――。
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