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ふたりは『力』を用いて、ぶつかりおうと地面を蹴る。
よりはやく、ふたりは体を引っ張られる感覚を覚えて、硬直した。
腕をかたい『何か』に包まれている……。
男ははっと、少女は表情を強張らせて、葵のほうを見る。
「それ以上、めんどくさいことばかりしていると貴様らの腕を別の『場所』に消すぞ」
ひどく冷めた眼差しで。
表情こそ変化ないが、静かな怒りを感じられた。
「悪かった」
「……すいません、ですぅ」
男はばつが悪そうに、少女は怯えたように謝る。
葵はふたりを一瞥し、
「燐【りん】。お前に朗報だ」
「……何です?」
少女は顔をあげた。
「お前の『探しモノ』が見つかった」
「えっ!?」
少女は弾かれたように反応した。
「まさか姫様が!?」
「あぁ。そのことで話がある」
「ぜひ!ぜひ聞かせてくださいですぅ!」
そう聞かれて葵は少女が知りたかった『情報』を口にした――。
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